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ジュエリーに関する雑学 [ジュエリーの豆知識]

世の中には、その業界の人には常識だけれど、一般の方にはあまり知られていない事実が存在します。当然のことながら、ジュエリーの世界にもそのようなことがありますので、今回はジュエリーに関する雑学を3つお話いたしましょう。

1.ジュエリーの製造業者が多い県は?

山梨県と言われて、みなさんが一番に思い浮かべるのはワイン・桃でしょうか。ジュエリーも山梨県で多く作られていることをご存知の一般の方は少ないかもしれません。

山梨県は古くから水晶の産地として有名で、江戸時代後期には本格的な飾り技術が発展し、明治時代に水晶宝飾の全盛期を迎えます。その後、水晶の原石は枯渇しましたが、それまでに蓄積された技術を生かして、水晶以外も含んだ宝石の原石の加工(宝石研磨)から貴金属加工まで行うジュエリーの一大製造地域になりました。山梨県の宝飾品出荷額は約378億円で全国シェアの3分の1にのぼり(全国第1位)、1000社を超えるジュエリー関係の業者が存在します。
(数値などの情報は「富士の国やまなし 観光ネット」から引用しました。→ )

特に業者が集中するのは、甲府市周辺です。少し前までは、山梨県が生産地であることを明示したジュエリーは多くはなかったのですが、最近は「山梨」「甲府」を前面に出すブランド戦略を行っています。それが「Koo-fu」(クーフー)という産地活性化プロジェクトであり、ブランド名にもなっています。みなさまも、Koo-fuという文字をジュエリー売り場で見かけたことがあるかもしれません。

2.日本はジュエリーが消えた時期がある特異な国

みなさまは、日本のジュエリーの歴史は、世界の中でも特殊だということをご存知でしょうか。縄文、弥生、古墳時代までは、他の民族とそれほど変わらない装身具の歴史を持っていますが、古墳時代と飛鳥、奈良時代との境目で、突如として、普通の意味での装身具は姿を消し、以後ほぼ1200年にわたり明治の初めまで、いわゆる装身具あるいはジュエリーを見ることはありません。

ここで言う「装身具」とは、人間が身体を飾るのに用いるすべてのものをさします。「ジュエリー」は装身具のうち、使用する素材に制限のあるもの、すなわち地金には金、銀、プラチナ類を使用し、天然あるいは人口の宝石素材を使用したものをさします。 

その理由は、庶民が身を飾るのを支配階級が好まなかったとか、古い装身に飽きたとか、衣服の染色技術が発達して装身具が不要になったとか、様々な説がありますが、どれも説得力に欠けます。櫛(くし)やかんざし、笄(こうがい)を除けば、装身具は日本にないのですが、同じような金属加工技術を使った、仏具、武器、袋物が作られています。つまり、技術はあったのに、装身具を作ることを考えなかったという、実に不思議な時代があったのです。

このためか、多くの日本人はジュエリーを身につけることにためらいを持っているように感じられます。特に、ビジネスシーンでのジュエリーは、欧米各国に比べてかなり控えめであることが好まれるようです。このような地域の特性は尊重すべきことですし、全てを欧米にあわせる必要はないと思います。しかし、ただ単になじみが薄いからという理由だけで、ジュエリーを遠ざけてしまうのはもったいないことだと思います。人類がジュエリーを身につけるようになった理由の1つに、強い動物の牙などを身につけることで一種の魔除け・お守りとしたことが始まりという説もあります。現代では、「こうなりたい」という自分の意志を表すというより積極的な意味を持たせることもできるのではないでしょうか。

3.ダイヤモンドの値段は決まっている?

透明無色で輝くダイヤモンドや、ルビー・サファイア・エメラルドなど美しい色彩を持ったカラーストーンは、多くの女性の憧れではないでしょうか。しかし、ダイヤモンドとカラーストーンでは、その価格の決まり方が大きく違います。

ダイヤモンドには4Cという統一された品質基準があります。そのため、同じレベルのダイヤモンドならば同じ価値と判断することができます。実際、ダイヤモンドの卸価格は「RAPAPORT DIAMOND REPORT」が指標になって、ほぼ一定に保たれています。このレポートは、ダイヤモンドの形(シェイプ)、カラット数(重さ)、クラリティー(透明度)、カラー(色)ごとに、値段(US$)が記載されているものです。一方、カラーストーンには4Cのような基準がありません。そのため、2つのカラーストーンのどちらに価値があるかが見る人によって異なることもあり得ます。ダイヤモンドの値段のつけ方は工業製品のようで、カラーストーンの値段のつけ方はアート作品のようである、と言えるかもしれません。
(4Cについては、JJA(日本ジュエリー協会)のHPにも解説があります。→ )

ダイヤモンドの価格決定のメカニズムは、デ・ビアス社が作り出したものです。わずか十数年前の2000年まで、デ・ビアス社を中心とするダイヤモンド販売機構が、生産量を買占め、需要に応じてコントロールしながら市場に出していくという、産出量コントロールを行っていました。2000年より、この販売機構はコントロールする役割を放棄したと言われていますが、現在もまだ大きな影響力を持っています。こういったダイヤモンドの価格の話を聞くたびに、今の私は日本の電力業界を連想します。価格は安定しているが、果たしてそれは適正な価格なのかよく分からない。閉鎖的なムラ社会であるため、実体がよく分からない(デ・ビアスの販売部門であるDTCから直接ダイアモンド原石を購入できるのは、DTCが認めた100社以下のサイトホルダーだけなのです)。こういった体質には、プラス面だけでなくマイナスの面があることは、ダイヤモンドにかかわる人間が心に留めておくべきことでしょう。ダイヤモンドは小さくて簡単に運べるのに高価であり個別に識別できないという特徴もあるため、最近では「紛争ダイヤモンド」という問題も出ています。しかし、ダイヤモンドの流通経路は複雑なので、なかなか難しいことではあります。

紛争ダイヤモンド : 内戦地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類のうち、紛争当事者の資金源となっているもの

もちろん、デ・ビアス社の功績はマイナス面ばかりではありません。「ダイヤモンドは永遠の輝き」や「婚約指輪は給料の3か月分」というフレーズを使ったCMによって婚約時にダイヤモンドリングを贈るという新たな習慣を日本に根付かせたことが、イメージ戦略の成功例として有名です。新たな市場や価値を創造したのですから、ものすごいことです。もっとも、これも日本の男性にとってはマイナス面かもしれませんが。


いかがでしたでしょうか。「そうなの。知らなかったわ」という内容でしたでしょうか。「それくらいのことは知っているわ」という方は、かなりのジュエリー通なのではないでしょうか。このような雑学で、ジュエリーをより身近に感じていただければ幸いです。


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コメント 2

Kinakinw

こんにちは。山梨に行った時に甲府駅のショップで「Koo-fu」ブランドの商品を見ました。その商品はすっきりした良いデザインだったと記憶しています。そうなんですよね、山梨って宝石王国なんですよね。
宝石には縁遠いKinakiwですが、昔知り合いにデビアスで働いていたという人がいました。ダイヤモンド恐るべし…なんて思ったものです。
Another-youさんのような送り手が増えて、「石を最も美しく見せる」と「さらっと身に着けたいデザイン」が融合された商品がたくさん出てくるのだろうな、と楽しみです。
by Kinakinw (2012-06-02 10:36) 

ANOTHER-YOUスタッフ

> Kinakinw さん
コメントありがとうございます。いろいろな場所に行かれてらっしゃるのですね。よく見ていないと宝石王国に気づかないかもしれません。ダイヤモンドも華やかなイメージの裏側にはいろいろあります。
私どものジュエリーは、ビジネスシーンでのご利用を想定しておりますので、石の使用は控えめになります。しかし、まさにおっしゃるような美しさと使用感を高度にバランス(中間ではなく、まさに融合)させた、心地よい複雑さのデザインのジュエリーを形にしていきたいと考えています。
励ましのお言葉うれしく思います。ありがとうございました。
by ANOTHER-YOUスタッフ (2012-06-02 19:22) 

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