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ANOTHER YOU のジュエリーができるまで [ビジネスシーンでのジュエリー]

みなさまは、ジュエリーがどのように製作されるかご存知でしょうか?私は、この職に就くまで、その製作方法を知りませんでした。

最近は、製品が出来上がるまでの工程を紹介しているテレビ番組を見かけます。その工程を知ると、その製品の価値をあらためて知ることができたり、親しみがわいたりします。また、工程をオープンにすることで、お客様が安心して製品を利用できる、という側面もあります。そこで、ジュエリーショップ ANOTHER YOU でも、当ショップのジュエリー(リング)が出来るまでをご紹介いたします。

ANOTHER YOU のジュエリーは、ビジネスシーンで使えるジュエリーを目指しています。スーツやインナーとのバランス、仕事のじゃまにならない形など、ビジネスシーンにふさわしいデザインとはどんなものであるかを考え(この点につきましては、以前のコラム「ビジネスシーンにおけるジュエリーリング」をご覧ください)、

  • ラインは、直線的過ぎず、曲線的過ぎず
  • 装飾は、単純すぎず、複雑すぎず

というデザインを目指しています。ただし、それは対極の中間や平均をとるものではなく、対極を高度にバランスさせた上になりたつ、というデザインを目指しています。具体的には、ビジネスシーンにふさわしい、

  • ボリュームは抑え気味で、その中に過剰でない緻密なデザイン
  • 規則的なデザインをここちよく崩したデザイン

をすることです。

このようなデザインのジュエリーでは、以下にご説明するCADの強みが生きます。そこで、ANOTHER YOU では、CADを積極的に使用し、以下の方法でジュエリーを製作しています。

1.ラフスケッチ

Sketch.JPG

商品化デザイン案一覧の個々のデザイン案ページに記載したようなコンセプト(ビジネスパーソンの成長を応援するものが多いです)をもとに、紙の上で大まかなデザインをします。そして、ひとつのアイデアから、色々とデザインを展開していきます。

リングのボリュームを抑えながら緻密なデザインを考えると、私の場合どうしても複雑になってしまいます。そんなときは、むかしの着物や髪飾りの写真集などを見ます。日本の文様・デザインの中には大胆な抽象化や省略がなされているものが多く、非常に参考になります。

2.CADデータの作成

ラフスケッチをもとに、パソコン上のCADソフトを使用して、3Dのデジタルデータを作成します。

CAD.jpg

2次元のラフスケッチに比べ、3次元の立体作成は思いのほか大変です。それは、3次元の立体作成を2次元のパソコン画面上で行うため、その1次元の差を脳内で補間する必要があったり、また、CADソフトそのものが進化の過程にあり、思い描いているような挙動をしてくれないことも多々あるからです。

また、日常生活では、近くがはっきり遠くはぼやけて見えるため、物体の位置を把握できます。しかし、CADでは遠くもはっきり見えるので、遠近の感覚がおかしくなります。正面方向だけ見て作ると、横から見たらトンデモナイ形になっていることもあります。

さらに、CADは拡大表示することが出来るので、非常に微細なものを作成できます。ですが、人間の目で判別できる範囲には限りがあるので、あまり細かくしても意味がありません。しかも、拡大表示だと太く丈夫に見えても、実サイズでは非常に細くて壊れやすい形状ということもあります。常に実際のサイズを意識しながら作業しなければなりません。

思い通りにはいかないストレスで叫び声をあげながらも、CADと私自身の技術の進化を信じて日々CADと格闘しています(笑)。 

3.CAD造形出力

チューブワックス.jpg一般的には、手作業で左のようなワックス(ろうの塊)から原型を作成し、原型を金属に置き換えてジュエリーにします。(金属を叩いたり、削ったりして作成する方法もあります)。 





fea_jwx30.jpg

この手作業で行っていたワックス原型の作成を、CADデータをもとに左のような機械をつかって自動的に行います。これには設備とノウハウが必要ですので、現在は、専門業者さんにお願いしています。

ジュエリー業界は、色々な分野の専門業者さんがいらっしゃいます。ほとんどの工程を自前でおこなう会社もありますが、分業が一般的です(デパートに入るような有名な会社でも、製造部分は専門業者さんに依頼するケースがよくあります)。専門性が高い作業が多いので、専門業者さんにお願いするほうが品質・コスト面で優れるからです。 

4.ワックスの修正

ワックス仕上がり.jpg

出来上がったワックス原型が右の写真です。パソコンの平面画像で見ていたものが、初めて3次元の形をもったものになる瞬間です。エコー写真を見ていたお母さんが赤ちゃんを産んだような気分になります。ここからさらに、機械では表現できない微妙な部分を、手作業で修正します。

ワックスは金属ほどの硬さがないため、細い部分は力を入れるとポキッと折れます。 また、非常に軽く(右上の写真で0.2g未満)、簡単に吹き飛んでしまいます。赤ちゃんに接するときと同じく、力まずやさしく扱わなければいけません。

Kisage.jpg

この作業で私が一番使用するのは、「キサゲ」と呼ばれる刃物で、ワックスの表面をうすくうすく削ぎなめらかにします。




Drivers.jpg

しかし、非常に細かい部分は、キサゲが届きません。そんなときは別の加工した道具を使用します。例えば、100円均一商品の精密ドライバー。これは先が細い上に焼きが入っていない(=硬くない)ので、やすりなどで好きな形状に加工できます。

ここでの修正は必要最低限にすることが大切です。しかし、細かいところが気になる性質の私は、深みにはまることもあります。後の仕上げ工程でも微修正できるので、どの工程でどれだけやれば一番効率的で結果がよいのか、それを見極めることが大切なのは、どの仕事にも共通することなのですが。

5.キャスト

次に、ワックス原型を金や銀の貴金属に置き換えます。熱につよい石膏でワックス原型を埋め込むようにおおい、石膏の中に埋め込んだワックス原型を熱で溶かすのです。するとワックス原型の部分は空洞になり、石膏の型ができます。この空洞になった部分に、熱で溶かした貴金属を流し込むのです。これも設備とノウハウが必要なので、専門のキャスト業者さんにお願いしています。

fea_jwx30.jpg

キャスト業者さんから受け取ったものを見ると、「大人になって帰ってきたね」と思います。いくらワックスをツルツルに仕上げても貴金属の輝きには敵いません。ワックス原型はプラスチック製のこども用リングのように見えますが、ようやく大人のリングになったという感じでしょうか。

また、ワックスだと軽いのですが、貴金属になると重さが出て(0.2g弱のワックスがシルバーになると2g、K18だと3g)、細い部分でも折れそうな怖さがなくなります。きれいなだけでなく丈夫であることが、貴金属が重用された理由の1つでしょう。

なお、キャスト業者さんから返ってくるものには、必ず「でべそ」のような出っ張りがあります。これは湯道といって、溶けた貴金属を流し込んだ通り道の跡です。

6.仕上げ

キャストが終わったら、形を整え、輝きが増すように磨きます。この作業で一番使用する道具が「リューター」です。歯医者さんで歯を削るとき、先端に針らしきものを装着し回転させている道具の仲間です。

Work.jpg

キャスト業者さんから受け取った時点でそれなりに輝いていますが、さらに輝かせるために布のような軟らかいものに研磨剤をつけて磨きます。リューターを高速回転させて磨くので、糸や研磨剤・貴金属の粉塵が飛び散って手は真っ黒になりますし、リングを持っている左手の親指・人差し指の爪まで磨いてしまって爪に段差が出来ることもあります。爪の間に粉塵がたまりやすいので爪は伸ばせないし、ネイルのおしゃれはすぐに駄目になります。

この粉塵は体によくないためマスクをして作業をします。むかし、マスクをするとメガネが曇るからとマスクなしでしばらく作業を続けていたら、鼻をかんだときちょっと黒かったです。しかも、1ヵ月後には気のせいか鼻の中の毛の密度が高くなったような・・それ以来、マスクは欠かせません。

こうしてみると、磨きは女性度を下げる作業といえますね。(笑) 

SampleRing.jpg 

実際にはこれより細かい工程がたくさんありますが、作業の大筋は上記の通りです。 

Tools.jpg

私はジュエリー製作を始める前は、コンピューターシステムを開発する仕事をしていました。ある意味でテクノロジーの先端を行く業界でした。しかし、実体のよく見えないコンピューターシステムより、実体の見えるものづくりに興味を持つようになり、ジュエリー製作の世界に方向転換しました。

ジュエリー製作では職人の手作業でしか表現できないものも多く、テクノロジー慣れした私にはその現場がちょっと前近代的に思えました。新しいテクノロジーを積極的に取り入れようとする職人さんもいらっしゃいますが、多くの職人さんはテクノロジーにアレルギーを持っているように思います。

それでも、技術革新の波はジュエリー製作の現場にも押し寄せています。当ショップは、テクノロジーの良いところも悪いところも熟知している経験を生かし、着用いただくお客様の笑顔を想像しつつ、目の前に見えるものの成長(ひとつひとつの工程)に愛情を込めながら、ジュエリーの製作・販売をしてまいります。

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