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K10は金と言える?|貴金属の知識 [ジュエリーの豆知識]

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ビジネスシーンのジュエリーは、一般的には宝石が目立つデザインがなじまないため、どうしても貴金属がメインになります。宝石と比べると貴金属は色のバラエティが少なく、主に銀色と金色であまり変化がないと思われるかもしれません。しかし、よく見ると同じ銀色や金色でも微妙な違いがあり、色だけでなく性質も少しずつ違います。ゴールドでも、よくみかける黄色っぽい色だけでなく、ピンク色やシャンパン色などの微妙な色合いのものも増えてきました。

このような微妙な色の違いがあるのはなぜでしょうか。ジュエリーに詳しい方でなければ、その理由をよく知らないかもしれません。私も、ジュエリーの製作者・ジュエリーコーディネーターになる前は、貴金属について詳しくは知りませんでした。そこで今回は、ジュエリーの貴金属の基礎知識を簡単にまとめたいと思います。具体的な色の違いは、次回以降のコラムでご説明いたします。

1.貴金属とは(元素レベル)

貴金属とは、まさに「貴い」金属。まずその美しさが人々をひきつけますが、さらに産出量が少ないという希少性がその価値を高め、腐蝕などに対する耐久性があるため長く使用することができるというメリットを持ちます。ジュエリーを購入する立場の方が貴金属といわれて思い浮かべるのは、ゴールド(金)・シルバー(銀)・プラチナ(白金)ではないでしょうか?しかし、これら3つ以外にも、プラチナの仲間である白金族のルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムを含めて、合計8つの元素を貴金属というのが一般的です。

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ゴールド・シルバー・プラチナ以外のジュエリーなんて見たことないわ、という方が多いと思います。現在ジュエリーの主素材として使用される貴金属は、ゴールド・シルバー・プラチナがほとんどです。

他の貴金属は何に使われているかというと、割金(わりがね)やめっき素材として使用されています。割金とめっきについては、以降で説明します。ただし、オスミウムは現在では割金・めっきを含めジュエリーに用いられることはありません。 

2.ジュエリーにつかう貴金属

純粋な貴金属元素には、科学的に安定で、耐食性にすぐれ、色も美しいというすぐれた性質がありますが、同時にジュエリーとするにはちょっと困った性質もあります。非常に柔らかい、重い(金の比重は19.3)などです。柔らかいと傷がついたり少しの力で変形したり、また宝石を留めている爪と呼ばれる部分がゆるんで宝石が落ちやすくなったりします。重いとジュエリーをつけているだけで疲れてしまいかねません。

そこで、そのような性質を改善するために、他の金属元素(貴金属元素のことも)を1種類以上加え、それらを融かしたりして混ぜ合わせた「合金」を使用することがほとんどです。 このような貴金属合金も、ジュエリーでは貴金属として扱います。また、加えた金属元素のことを「割金」と言います。

3.品位

ジュエリーで使う貴金属の多くが貴金属合金であるなら、その含有率が重要になります。それを示すものが「品位」です。品位は主貴金属の含有量を表示するだけで、割金は表示されません。貴金属の品位は、一般的に1000分率(‰ パーミル)で表示されます。(ISO規格やJIS規格)。

ジュエリーの素材表示で、「シルバー925(SV925)」や「プラチナ900(Pt900)」などの表現や刻印(ジュエリーに刻まれている印)を見ることはないでしょうか。これらは、シルバー(Ag)の含有量が925‰(=92.5%)、プラチナ(Pt)の含有量が900‰(=90%)ということをあらわしています。割金にどのような単一または複数の元素を使い、その割合がどの程度かは分かりません。

ただし、ゴールドの品位は古くから使われてきたカラットという単位で表されることも多いです。ゴールドの品位を表すカラット(米:karat、英:carat、略号:K、Kt)は24分率で、ダイヤモンドなどの宝石の重さを表すカラット(carat、略号:ct、1carat=0.2g)とは異なります。K18は18/24で1000分率だと750‰(=75%)になります。日本製品ではまだカラット表記が主流ですが、海外製品では「Au750」など1000分率を使用した表記を見ることもあります。 

ところで、K10に含まれるゴールドは10/24=417‰=41.7%と50%を切っています。果たしてこれはゴールドと呼ぶにふさわしいものなのでしょうか?その答えは人によって異なると思います。ISOやJISでは貴金属の品位区分を規定していますが、その最低区分は、プラチナが850‰、シルバーが800‰であるのに対し、ゴールドは375‰(=K9。世界的にはK10よりK9が一般的)です。

5.めっき 

めっきや張り(クラッドとも言う)は、どちらも表面を貴金属で覆うというものです。作成方法が異なるため、めっきは数ミクロン単位の薄い被膜(1ミクロン=1/1000mm)ですが、張りの方が膜は厚くなります。

表記には、めっきはP(plated)、張りはF(filled)あるいはR(rolled)が使われます。K18GPはK18のゴールドでめっきされている、K18GFはK18のゴールドで金張りされているという意味であり、内部(母材)が何かは表示していません。貴金属かもしれませんし、真鍮かもしれませんし、場合によってはプラスチックかもしれません。

めっきという言葉には本物ではないというマイナスのイメージが持たれることもあるため、最近はめっきではなくコーティングと呼ぶところもあります。しかし、めっき=粗悪とは限りません。ジュエリーとして使いやすいようにという配慮からめっきが行われていることもあります。例えば、シルバーは黒ずみやすいので、ロジウムめっきを施すことによって黒ずみにくくするなどです。購入者は、めっきのプラス面とマイナス面(使用しているうちに剥がれてくることが多いなど)を天秤にかけ、どちらがより自分にとって大切かを判断することが大切です。もちろん、販売者が正しく製品情報を提供することが大前提です。

なお、めっきや張りがされていないという意味で「むく(無垢)」と表現するケースを見かけます。合金に対して単一元素のものをむくと呼ぶケースも見かけます。本来「むく」は、中空などのない同一素材で密なものを指すのですが、一般の人にはピンと来ない定義かもしれません。ジュエリーの世界では、このように同じ用語を微妙に違った意味で使っているケースをたまに見かけます。そのことで、一般の人がわかりにくい、紛らわしいと思いジュエリーを敬遠してしまうとしたら、残念なことです。

ジュエリーで使用する貴金属は、どの品位(=主となる貴金属の含有量)で、どのような割金を加え、めっきや張りをするか、などによってその性質が変わります。その分かりやすい例が、色です。次回からは、金色・銀色など色ごとの切り口で貴金属を分類し、その特徴をふまえた上でビジネスシーンでどのように活用するかを考えてみたいと思います。


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ジュエリーに関する雑学 [ジュエリーの豆知識]

世の中には、その業界の人には常識だけれど、一般の方にはあまり知られていない事実が存在します。当然のことながら、ジュエリーの世界にもそのようなことがありますので、今回はジュエリーに関する雑学を3つお話いたしましょう。

1.ジュエリーの製造業者が多い県は?

山梨県と言われて、みなさんが一番に思い浮かべるのはワイン・桃でしょうか。ジュエリーも山梨県で多く作られていることをご存知の一般の方は少ないかもしれません。

山梨県は古くから水晶の産地として有名で、江戸時代後期には本格的な飾り技術が発展し、明治時代に水晶宝飾の全盛期を迎えます。その後、水晶の原石は枯渇しましたが、それまでに蓄積された技術を生かして、水晶以外も含んだ宝石の原石の加工(宝石研磨)から貴金属加工まで行うジュエリーの一大製造地域になりました。山梨県の宝飾品出荷額は約378億円で全国シェアの3分の1にのぼり(全国第1位)、1000社を超えるジュエリー関係の業者が存在します。
(数値などの情報は「富士の国やまなし 観光ネット」から引用しました。→ )

特に業者が集中するのは、甲府市周辺です。少し前までは、山梨県が生産地であることを明示したジュエリーは多くはなかったのですが、最近は「山梨」「甲府」を前面に出すブランド戦略を行っています。それが「Koo-fu」(クーフー)という産地活性化プロジェクトであり、ブランド名にもなっています。みなさまも、Koo-fuという文字をジュエリー売り場で見かけたことがあるかもしれません。

2.日本はジュエリーが消えた時期がある特異な国

みなさまは、日本のジュエリーの歴史は、世界の中でも特殊だということをご存知でしょうか。縄文、弥生、古墳時代までは、他の民族とそれほど変わらない装身具の歴史を持っていますが、古墳時代と飛鳥、奈良時代との境目で、突如として、普通の意味での装身具は姿を消し、以後ほぼ1200年にわたり明治の初めまで、いわゆる装身具あるいはジュエリーを見ることはありません。

ここで言う「装身具」とは、人間が身体を飾るのに用いるすべてのものをさします。「ジュエリー」は装身具のうち、使用する素材に制限のあるもの、すなわち地金には金、銀、プラチナ類を使用し、天然あるいは人口の宝石素材を使用したものをさします。 

その理由は、庶民が身を飾るのを支配階級が好まなかったとか、古い装身に飽きたとか、衣服の染色技術が発達して装身具が不要になったとか、様々な説がありますが、どれも説得力に欠けます。櫛(くし)やかんざし、笄(こうがい)を除けば、装身具は日本にないのですが、同じような金属加工技術を使った、仏具、武器、袋物が作られています。つまり、技術はあったのに、装身具を作ることを考えなかったという、実に不思議な時代があったのです。

このためか、多くの日本人はジュエリーを身につけることにためらいを持っているように感じられます。特に、ビジネスシーンでのジュエリーは、欧米各国に比べてかなり控えめであることが好まれるようです。このような地域の特性は尊重すべきことですし、全てを欧米にあわせる必要はないと思います。しかし、ただ単になじみが薄いからという理由だけで、ジュエリーを遠ざけてしまうのはもったいないことだと思います。人類がジュエリーを身につけるようになった理由の1つに、強い動物の牙などを身につけることで一種の魔除け・お守りとしたことが始まりという説もあります。現代では、「こうなりたい」という自分の意志を表すというより積極的な意味を持たせることもできるのではないでしょうか。

3.ダイヤモンドの値段は決まっている?

透明無色で輝くダイヤモンドや、ルビー・サファイア・エメラルドなど美しい色彩を持ったカラーストーンは、多くの女性の憧れではないでしょうか。しかし、ダイヤモンドとカラーストーンでは、その価格の決まり方が大きく違います。

ダイヤモンドには4Cという統一された品質基準があります。そのため、同じレベルのダイヤモンドならば同じ価値と判断することができます。実際、ダイヤモンドの卸価格は「RAPAPORT DIAMOND REPORT」が指標になって、ほぼ一定に保たれています。このレポートは、ダイヤモンドの形(シェイプ)、カラット数(重さ)、クラリティー(透明度)、カラー(色)ごとに、値段(US$)が記載されているものです。一方、カラーストーンには4Cのような基準がありません。そのため、2つのカラーストーンのどちらに価値があるかが見る人によって異なることもあり得ます。ダイヤモンドの値段のつけ方は工業製品のようで、カラーストーンの値段のつけ方はアート作品のようである、と言えるかもしれません。
(4Cについては、JJA(日本ジュエリー協会)のHPにも解説があります。→ )

ダイヤモンドの価格決定のメカニズムは、デ・ビアス社が作り出したものです。わずか十数年前の2000年まで、デ・ビアス社を中心とするダイヤモンド販売機構が、生産量を買占め、需要に応じてコントロールしながら市場に出していくという、産出量コントロールを行っていました。2000年より、この販売機構はコントロールする役割を放棄したと言われていますが、現在もまだ大きな影響力を持っています。こういったダイヤモンドの価格の話を聞くたびに、今の私は日本の電力業界を連想します。価格は安定しているが、果たしてそれは適正な価格なのかよく分からない。閉鎖的なムラ社会であるため、実体がよく分からない(デ・ビアスの販売部門であるDTCから直接ダイアモンド原石を購入できるのは、DTCが認めた100社以下のサイトホルダーだけなのです)。こういった体質には、プラス面だけでなくマイナスの面があることは、ダイヤモンドにかかわる人間が心に留めておくべきことでしょう。ダイヤモンドは小さくて簡単に運べるのに高価であり個別に識別できないという特徴もあるため、最近では「紛争ダイヤモンド」という問題も出ています。しかし、ダイヤモンドの流通経路は複雑なので、なかなか難しいことではあります。

紛争ダイヤモンド : 内戦地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類のうち、紛争当事者の資金源となっているもの

もちろん、デ・ビアス社の功績はマイナス面ばかりではありません。「ダイヤモンドは永遠の輝き」や「婚約指輪は給料の3か月分」というフレーズを使ったCMによって婚約時にダイヤモンドリングを贈るという新たな習慣を日本に根付かせたことが、イメージ戦略の成功例として有名です。新たな市場や価値を創造したのですから、ものすごいことです。もっとも、これも日本の男性にとってはマイナス面かもしれませんが。


いかがでしたでしょうか。「そうなの。知らなかったわ」という内容でしたでしょうか。「それくらいのことは知っているわ」という方は、かなりのジュエリー通なのではないでしょうか。このような雑学で、ジュエリーをより身近に感じていただければ幸いです。


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