働く女性の腕時計と手のジュエリー [ビジネスシーンでのジュエリー]
先のコラム「働く女性の腕時計とブレスレット」では、ビジネスシーンで必須の腕時計をした場合、働く女性はブレスレットをどのようにあわせればよいかを考えてみました。しかし、手につけるジュエリーにはもう1つ、指輪があります。このコラムでは、さらに指輪を加えて、スーツにあわせる腕時計・ブレスレット・指輪の関係について、ジュエリーコーディネーターとして、またかつて一般企業で現場リーダーとして働いた経験のあるひとりの女性として、考えてみたいと思います。
1.ビジネスファッションと普段のファッションの違い
実際に考える前に、普段のファッションとビジネスシーンにおけるファッションの違いを2点ほど確認したいと思います。
1つ目は、ファッションの目的です。ビジネスシーンにおけるファッションとは、その仕事にふさわしい能力・センスがあることをアピールするためのものだと思います。何が「その仕事にふさわしい」かは、業界や職種、自社および相手企業の風土などによって変わりますが、企業の実働部隊の代表として交渉の最前線に立つ現場リーダーに最も求められるのは、優先順位を外さず、いろいろなリソースを上手く組み合わせて最善の形でミッションを達成する、という総合力・バランス感覚ではないでしょうか。大きなビジネスになればなるほど、突出した1つの技量より、総合力・バランス感覚が求められるものです。
2つ目は、ジュエリーの重ね付けの印象の違いです。普段のファッションではおしゃれに見えるジュエリーの重ね付けですが、ビジネスシーンでは場違いになりやすいと思います。正直、ビジネスシーンでのジュエリーはバランスが難しいものです。なぜなら、ビジネスでは実用性(役に立つこと)が最も重要ですが、ジュエリーには実用性がないからです。必要でないものにあえて手をかけることによって、その人の心の余裕・上質さ、あるいは相手への敬意といったプラスの印象が生まれますが、それはさりげないからこそ感じるもの。量が多すぎるとかえって嫌味になります。
2.ビジネスシーンでの手のジュエリーのつけ方
上の2つを踏まえて、ビジネスシーンでの腕時計・指輪・ブレスレットのバランスを考えてみましょう。ビジネスシーンで腕時計は必須といえますので、おのずとジュエリーは腕時計とのバランスで考えることになります。
ビジネスシーンにふさわしい手のジュエリーのつけ方は大きく分けると2パターンでしょう。1パターン目は腕時計と反対の手にジュエリーをつけてバランスをとる方法、2パターン目は腕時計をつける手にジュエリーもつけて集中させる方法です。
両方の手にジュエリーをつけることは、ビジネスシーンでは飾りすぎで違和感があると思います。腕時計と反対の手(通常、利き手)にブレスレットをするとスーツの袖口が両方ふさがれた感じになり、洗練されたイメージにはなりにくいでしょう。なにより、利き手の手首にモノがあるのは仕事の邪魔です。また、指輪は思った以上に目立ちます。かつては、ビジネスシーンで指輪をすることはためらわれたのですが、男性も結婚指輪をするようになった今では指輪に対する意識も変わってきました。しかし、いくつもの指に指輪をはめるのは、まだまだ受け入れられないケースが多いと思います。指輪は1つならば無難な範囲、左右の手に1つずつであれば場合よっては可能というのが、ビジネスシーンでの現実的なラインではないでしょうか。
次からは、その2つのパターンの例を考えてみます。
3.腕時計と反対の手にジュエリーをつける場合の例
腕時計の存在感が強い場合(フェイスが大きい、フェイスやメタルバンドのデザインが凝っているなど)、同じ手にジュエリーを重ねるとビジネスシーンでは飾りすぎという印象になってしまうでしょう。細いブレスレットや指輪では腕時計に負けてしまうので、あわせようとするとどうしてもボリュームのあるタイプになってしまうからです。そのため、ビジネスシーンで存在感の強い腕時計をする場合は、ジュエリーは反対の手にすることをおすすめします。では、どのような指輪があうのでしょうか。
ビジネスシーンにふさわしい存在感のある腕時計となれば、おそらく堅い(辛い)イメージのものです。甘くて存在感の強い腕時計がビジネスシーンにふさわしいとは思えません。この場合、手のジュエリーは何もつけず、堅いイメージをそのままにするという戦略もあります。あるいは、甘さのないデザインの指輪で、堅いイメージをさらに強めるという戦略も。少し前までは、そのようなコーディネートを多く見かけました。女性らしさが嫌われ、女性に男性と同じように働くことを求める会社が多かったからだと思います。しかし、現代の会社はどうでしょうか。女性に男性並みのガッツを求める一方で、男性にはない女性らしい感性も求めているはずです。ならば、それに答えるジュエリーを身につけるべきではないでしょうか。
存在感のある堅い腕時計で男性に負けない実力を暗示し、反対の手にほんのり甘い指輪をしてバランスをとる。適度な堅さがありながら甘い要素も混じったデザイン、例えば、平打ちの中に曲線的な模様があるデザインや、ゆるい曲線の形ながらシンメトリー(左右対称)のデザインなどでしょうか。腕時計と同じ手ではお互いの距離が近すぎて反発しあうものも、反対の手ならば離れているので、テイストが違っても違和感が少ないですし、腕時計との色あわせの制約も少なくなります。
4.腕時計と同じ手にジュエリーをつける場合の例
腕時計の存在感がそれほど強くない場合は、どちらの手にジュエリーをつけてもおかしくはないと思います。ただ、ジュエリーの重ね付けに制約があるビジネスシーンでは、反対の手にジュエリーをつけて印象を散漫にするよりも、同じ手にジュエリーを重ねて、イメージを作り上げるほうがおすすめです。
販売されている女性用腕時計のほとんどはメタルバンドです。ビジネスシーンの場合、メタルバンドならブレスレットはあきらめるべきでしょう。仕事中にメタルバンドとブレスレットがカチャカチャ鳴るのは、どんなに見た目が格好よくてもスマートだとは思えません。 となると、メタルバンドの腕時計と指輪をどうあわせるか、ということになります。
存在感がそれほど強くないといっても、フェイス(ケース)が楕円など甘いイメージが強いものは、あわせる指輪に注意が必要です。曲線的なやさしい感じの指輪はビジネスシーン以外であればよく馴染みますが、ビジネスシーンでは甘いイメージが強くなりすぎるのでやめたほうがよいでしょう。指輪をするならば、直線的なデザインなど堅いイメージのものを(同じ手でも反対の手でも)して、バランスをとったほうがよいと思います。あるいは、あえて何もつけない(=何もない空間を作る)ことで、濃度を弱めるという方法もあると思います。
メタルバンドの腕時計は、男性のウォッチを小さくしたようなシンプルな腕時計が多いでしょう。小さいため堅さが和らぎ、ニュートラルに近いイメージだと思います。そのため今まで挙げた腕時計に比べ、あわせる指輪の制約が少ないといえるでしょう。フェイスにピンクが入ったものは甘さが少し高いので、甘いデザインの指輪は避けたほうがよい、腕時計の色が2色以上の場合は、指輪も色をあわせたほうがよい、など細かい点はいくつかあっても、腕時計と指輪の素材感が同じという共通項があるため、初心者でも大きく外すことはないはずです。しかし、逆に腕時計と一体化しすぎるため、実用性のないジュエリーだからこそ表現できるメッセージ(その人の心の余裕・上質さ)が相手に届きにくい、他人と差別化しにくい、というマイナスがあります。ならば、そのメッセージは指輪以外のジュリーに託し、指輪はむしろ自分に対するメッセージを持たせるのが良いのではないでしょうか。指輪は自分から常に見える位置にあることが多いので、この役割にぴったりです。
5.差別化するなら革バンドの腕時計
腕時計で差別化したい人におすすめなのは、革バンドの腕時計です。ただし、革バンドの色は一般的な黒・茶色ではなく、グレーやベージュなどの主張しない中間色が良いと思います。そのような革バンドならば、
- 細いチェーンのチャームなしブレスレットをあわせられるので、使えるアイテムが増える
- メタル以外の素材と色が加わるので、より手元に陰影が出る
- 腕時計のイメージがよりニュートラルなので、ジュエリーの自由度が高い
- 腕時計の印象がやさしくなるので、相手に対するジュエリーのメッセージ性が高まる
6.まとめ
ジュエリーのような小さなものの中にストーリーを表現するのは難しいものですが、当ショップは、働く女性に「こうなりたい」という強い気持ちを思い出させるようなジュエリーのデザイン・製作に挑戦してまいります。加えて、実際のビジネスシーンでの経験を生かし、ジュエリーコーディネーターとして、様々なビジネスシーンにふさわしいジュエリーを中心とした新しいファッションスタイルをご提案してまいります。
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