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リーダーにふさわしい貴金属とは [ビジネスシーンでのジュエリー]

先のコラム(→リーダーにふさわしい宝石とは)でも述べましたが、ビジネスシーンにおけるファッションとは、「その仕事にふさわしいセンスがあることを表現する手段」ではないでしょうか。特にビジネスの経験を積んでそれなりのポジションになり、そのポジションにふさわしい質の服を着るようになれば、ここぞという時ほどジュエリーをしないのは画竜点睛を欠くといえるでしょう。そのためには、使い込んでも、みすぼらしく見えない安っぽく見えない上質な素材であることが大切かと思います。 ビジネスシーンでのジュエリーに大きな宝石はあまりふさわしくありませんから、一番目立つのは貴金属といえましょう。したがって、本来なら宝石以上に気を配るべきものかもしれませんが、意外に良く知らずにご購入されている方が多いのではないでしょうか。かく言う私も、初めてジュエリー売り場に行ったときは、ゴールドはK18(18金)が純粋で、プラチナが金属の中で一番白く硬いと思っていました。(どちらも間違いです(笑))。

残念ながら宝石だけでなく貴金属でも誤解を生むような表現をする販売業者が存在します。貴金属は色々な加工方法があるため、より誤解しやすい表現が生まれやすいかも知れません。しかし、ちょっとした基本知識を持っていれば、わざと誤解を生じさせようとしている表現に気がつきやすいものです。このコラムで、そういったちょっとした知識をご提供できればと思います。

1.貴金属とは

貴金属とは、まさに貴い金属。まずその美しさが人々をひきつけますが、さらに産出量が少ないという希少性がその価値を高め、腐蝕などに対する耐久性があるため長く使用することができるというメリットを持ちます。ジュエリーを購入する立場の方が貴金属といわれて思い浮かべるのは、ゴールド(金)・シルバー(銀)・プラチナ(白金)ではないでしょうか?しかし、これら3つ以外にも、プラチナの仲間である白金族(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、プラチナの6種類)も含めて貴金属というのが一般的です。

PreciousMetal.png 

ゴールド・シルバー・プラチナ以外の貴金属なんて見たことないわ、という方が多いと思います。確かにその通りで、現在ジュエリーの主素材として使用されるのは、ゴールド・シルバー・プラチナがほとんどです。では他の貴金属は何に使われているかというと、割金(わりがね)やめっき素材として使用されています。(オスミウムは現在では割金にもめっきにも用いられません)。

2.合金とめっきの違い

現在ほとんどのジュエリーは1つの金属に別の元素を1種類以上あわせる合金で作られており、加える元素のことを割金と言います。一方、金属で土台を作りその表面のみを貴金属で覆うのが、めっきや張りです。デコレーションケーキでたとえるならば、卵・砂糖・小麦粉を混ぜてスポンジケーキを作るのが合金、スポンジケーキに生クリームを塗るのがめっきや張りというイメージでしょうか。もちろんあくまでイメージで製法は全く異なりますが(笑)。

合金にする理由は、単一の金属ではえられないすぐれた性質をつくりだせるからです。例えば、合金にすることにより硬度・強度を高められ、純金・純銀・純プラチナより傷がつきにくくなります。またゴールド・シルバー・プラチナは比重が重いため、軽い金属と合金にすることによって、軽量化することも出来ます。またゴールドの特性として、割金を変えることによって大幅に色を変えることが出来ます。イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドなどゴールドにたくさんのカラーバリエーションがあるのは、加える金属(割金)が異なるためです。(プラチナやシルバーの合金は、ほとんど色が変化しません)。

precious_metals_yellow_gold_comparison.jpg precious_metals_gold_yellow_rose_white.jpg

画像はALL ABOUT GEMSTONESさんからお借りしました→
(ピンクゴールドはローズゴールドとも呼ばれます。)

貴金属においては合金が一般的であるため品位(主素材の含有率)は非常に重要ですが、その単位はあまり知られていないかもしれません。 「K18(18金)」と書かれていた場合、ゴールドの含有率はいくらだと思われますか?こちらは一般的かも知れませんね。金の単位はKarat(カラット)ですが、これは24分率(K24が100%)なので、K18は18/24=75%になります。では、「Pt100(プラチナ100)」のプラチナ含有率 いくつでしょうかは?貴金属では、品位を表す単位として1000分率(‰:パーミル)を使用します。前述のように、ゴールドは慣習的に24分率表記が多いのですが1000分率表記のこともあります。シルバー925、シルバー950という呼び名を聞いたことがあるかたもいらっしゃるかと思いますが、これらはシルバーの含有率が925‰=92.5%、950‰=95%ということになります。ですから、Pt100はプラチナの含有率が100‰=10%、つまりプラチナ以外の金属がほとんどなのです。なお、ISOはPt850以上をプラチナジュエリーと称すると規定しています。

なお、カラットには、金の品位を表すカラット(米:karat、英:carat、略号:K、Kt、金)と、宝石の重さをあらわすカラット(carat、略号:ct、1carat=0.2g)とがありますので、混乱しないようご注意ください。 

一方、めっきの主目的は何と言ってもコスト削減でしょう。(他の理由は、後の項目でご説明します)。 パラジウム、イリジウム、ルテニウムは割り金として使用されることが多く、ロジウムはめっきの材料として使用されることが多いのです。

ゴールドは割金によって色を変えることができますので、特にホワイトゴールドはプラチナやシルバーと間違われないようにK18/K14などでなく、K18WG/K14WGと表記されることがあります。同様に、イエローゴールドはK18YG、ピンクゴールドK18PGと表記することもあります。では、「K18GP」「K18GF」とは何でしょうか?これらは、WGなどとは全く異なる意味を持ち、GP=gold plated=金めっき、GF=gold filled=金張りです。どちらも他の金属(たいていはシルバーか真鍮)の表面を薄い膜で覆ったものです。金めっきは金を溶かした液に電流を流し電気的に薄膜を作りますが、金張りは高温・高圧で表面に圧着させるため、金張りの方が膜が厚くなります。めっき・張りともにその他の表現方法もあるので、貴金属の場合は「この商品の材質、品位(含有率)、めっきなどの表面処理の有無」を確かめ、必要ならば質問することをお勧めします。

3.紛らわしい呼び名 プラチナ仕上げ

みなさまは「プラチナ仕上げ」「プラチナコーティング」という表現を見かけたことはありませんでしょうか。「プラチナ」と言い切らず「プラチナ仕上げ」「プラチナコーティング」という表現がされています。先のコラムでも申し上げましたが、価値のあるものの前後に言葉がついている場合には少し注意する必要があります。 「プラチナ仕上げ」「プラチナコーティング」という用語は業界では定義されていない造語ですが、多くの場合実態は「ロジウムめっき」です。ロジウムはプラチナ族(白金族)の1つですからプラチナと呼んでも問題ないというのが販売者側の言い分でしょう。

しかし、プラチナ製品とシルバーにロジウムめっき製品の原材料費の差は桁違いです。田中貴金属のHPによれば、2012/2/1時点のプラチナの小売価格は1gあたり4,204円、銀は88.51円と1gあたりで47倍以上の価格差があります。しかも比重は純プラチナが21.45、純銀は10.5なので、おなじ形状のジュエリーを製作すると、純プラチナの場合は純銀の場合の約2倍の重さの金属が必要なのです。(実際の製作時にはプラチナもシルバーも合金を使用するのが一般的なので比重は変わります)。ロジウムめっきは、格安業者であれば新品リング1つを1,000円以内で出来ます。 このように非常に価格差がありながら、その違いをはっきりさせずに紛らわしい呼び名を使う。まさにCZダイヤモンドとおなじ構造です。(CZダイヤモンドについては先のコラムをご参照ください→リーダーにふさわしい宝石とは)。ただし先ほども申し上げました通り、貴金属の場合、「材質品位、めっきなど表面処理の有無」をしっかり確認すれば誤解したままで購入することにはならないでしょう。販売者も(故意か注意不足かは別として)誤解を生むような表現はしても、言い逃れできない嘘は言わないはずだからです。嘘を言ったら犯罪になりますから。

なお、プラチナにロジウムめっきをかけるケースもあります。 それは、プラチナはどちらかといえばやや黒っぽい渋みのある独特の白色なので色調を明るくするために加え、プラチナは傷つきやすいのでめっきで傷つきにくくするためです。白さの程度、可視光線の反射率ともにあらゆる金属中最高なのはシルバーですが、ロジウムの色はプラチナよりシルバーに近いと言えます。

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(画像は、日本ジュエリー協会のホームページからお借りしました。)

4.ホワイトゴールドとは?

ホワイトゴールドを日本語に訳すと「白金」?いえいえ、白金はプラチナのことです。日本ジュエリー協会(JJA:→)ではホワイト・ゴールドを日本語で「白色金」と表現していますが、あまり一般的ではないかもしれませんね。最近では白金という用語がそれほど使われなくなったので、ホワイトゴールドとプラチナを混同される方は少なくなったかもしれませんが、両者は全く異なる金属です。

もうひとつしっかり区別していただきたいのは、ホワイトゴールドは合金であり、めっきなどの表面加工ではないということです。合金の説明でも申し上げましたが、ホワイトゴールドは金合金の1種で、パラジウムなどの白くなる割金(これを特別に漂白剤と呼びます)を用いて白色系にした金合金です。しかし、パラジウム価格の高騰などにより白色系でない黄色味の強いゴールドにロジウムめっきを施したものがホワイトゴールドと称して販売され、めっきがはがれて問題になったことがあります。2004年に日本ジュエリー協会がホワイトゴールドと呼べる色の範囲を定義し、「黄色み、赤みなど色みのある金合金をめっきすることにより、色調を隠蔽してホワイ トゴールドと称することは不当な表示」であると製造・販売店への指導を始めてからそのような問題は減っています。

しかし、このような不正がかつて存在したのには根深い原因があるように私には思えます。現在、有名ブランド品を含め正真正銘のホワイト・ゴールドの既製品の多くは、実はロジウムめっきしていると言われています。ホワイトゴールドが白色系とは言えどもやはり少し灰色がかるのためです。しかし、めっきは表示義務がないためか明示されるケースは少ないようです。明示されない理由は、「めっき」と記載することで商品イメージが悪化することを恐れているからでしょう。商品イメージを守ろうとするあまり、イメージが悪くなる可能性のある情報は積極的に明示しないという悪い体質が、現在でもジュエリー業界には残っているようです。しかし、めっきは理由・メリットがあるから行っているはずです。めっきのメリットをきちんと説明し、めっきの必要性はお客様の判断に任せるのが現代社会にマッチしたあるべき姿ではないでしょうか。なにしろ「ジュエリーという商品についての、正しい情報を提供することは、ほとんどが業者側の責任」なのですから。(「ジュエリーコーティネーター」教科書より)。しかし、貴金属であれば「材質品位、めっきなど表面処理の有無」などの情報提示をお客様サイドから要求し確認するのが自衛のための良い方法でしょう。

正確な情報が得られたとして、何が一番自分にふさわしいかという問題があります。 材質と品位はどうするべきか、めっきをかけたものか、かけていないもの(無垢といいます)か。それは立場や好み、使うシチュエーションによると思いますが、ここでは私の個人的な感想を述べたいと思います。考え方は人それぞれですのでこの感想が絶対だとは思っておりません。ただ、みなさまの選択のご参考になればと思います。リーダーと呼ばれるような働く女性の場合、やはりK18がふさわしいのではないかと私は感じています。シルバーはあざやかな白がすばらしいですが、黒ずみ(硫化)しやすくため忙しい女性にはお手入れ負荷があります。そもそも、シルバーは「貴金属」でありながら「貴金属」というイメージがありません。もう少しカジュアルな感じではないでしょうか。リーダーにふさわしい重みをあまり感じないのです(あくまで職場においては)。プラチナはPt950/Pt900は一般的なK18と比べると傷がつきやすい傾向にあります。ご自分もしくはお知り合いの結婚指輪をご確認いただければ、実感できるのはずです(笑)。多少の傷は味となりますが、多くなるとみすぼらしく見えてしまう危険性があります。となると、残るのはゴールドですが、問題は品位です。リーダーである働く女性がジュエリーを身につけるのは、「その仕事にふさわしいセンスがあることを表現する手段」であるならば、ジュエリーにもそのポジションにふさわしい質が求められます。であれば、やはりK18(750‰)がふさわしく、K14(585‰)ではギリギリすぎる気がします。もちろん、例えば若い部下と飲みに行くときなどに、シルバー+めっきで遊び心や親近感を演出するなど、時々気分転換するのは素敵なことだと私も思います。しかし、プレゼンテーションなどここぞという時は、やはりK18にして「その仕事にふさわしい」ビジネスパーソンであることを示したいと私は思うのです。

 

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